平成27年度 卒業式 式辞
- 公開日
- 2016/03/11
- 更新日
- 2016/03/11
山岡校長の「雨ニモ負ケズ」
ひと雨ごとに、春の訪れを感じ、桜の木の芽も膨らみ始めた、今日のよき日、本校第69期卒業生として巣立つ、121名のみなさん、心より、ご卒業おめでとうございます。
また、本日ここに、本校、第69回、卒業証書授与式を、挙行いたしましたところ、大阪市会議長 東 貴之(ひがし たかゆき)様、西区長 高野 賢(けん)様、をはじめとする、ご来賓のみなさま方におかれましては、公私何かとご多用の中、早朝より、多数、ご臨席を賜りましたこと、誠にありがたく、高いところからではございますが、心よりお礼申しあげます。
さて、卒業生のみなさん。君たちは、本校での3年間、学習に、運動に、部活動に、常に真面目に取り組み、多くのことを学び、数々の思い出を残して、本日、卒業証書を手にしました。
その卒業証書には、ご家族をはじめ、地域の方々、先生方の深い愛情がこめられています。
そして、一緒に過ごした友の支え、励ましがあればこそ、こんにちの自分があるということを、決して忘れないで欲しいと思います。
思い起こせば、5年前の今日、3月11日、卒業式を無事に終えて、ほっとしているときに、「東日本大震災」が発生しました。
テレビに映し出された、あの恐ろしい光景は、今でも決して、忘れることはできません。
5年という年月が過ぎた今も、自分の家に戻ることすらできない方々が、大勢おられることを、決して忘れてはいけません。
震災直後、「水をくむ少年」という写真が新聞に載りました。
自宅が津波で流され、断水が続く避難生活のなかで、家族のために何か役に立ちたいと、その少年は、井戸水を、一日に何度もくみに行ったそうです。
がれきの中を、口を真一文字に結んで、歯を食いしばって、水を運んでいました。
釘を踏んで、足を怪我しても、誰にも言わず、痛みに耐えながら水を運んでいたそうです。
もし、怪我をしたと言ったら、家族が心配して、水をくみに行かせてもらえなくなると、思ったからだそうです。
その少年も、今、君たちと同じ中学3年生になりました。
将来の夢である、バスケットボールのプロ選手を目指して、仙台市にある、バスケットボールの強豪と言われる高校に進学することが決まったそうです。
今、君たちが、なにげなく過ごしている日々が、決して当たり前の日常ではない、ということを忘れてはなりません。
毎日、平和に生活できることに、常に感謝の気持ちを持って、日々、全力で、過ごしてほしいと思います。
君たちは、この3年間、遠足や一泊移住、修学旅行、体育大会、文化発表会、合唱コンクールなど、たくさんの思い出を作ってきました。
私が、君たちと過ごせたのは、今年度、一年間だけでしたが、とても印象に残る、すばらしい学年でした。
修学旅行は、私にとっても、一生忘れることのできないほど、素晴らしい3日間でした。
大自然の中での、ラフティング、バーベキュー、西中学校の、君たちのためだけに打ち上げていただいた花火大会、太平洋の大海原でのホエールウオッチング、村中の人たちに出迎えていただいての、カツオのたたきづくり体験、到着したとき、歓声があがったほどの豪華なホテル、食べきれないほどの贅沢な食事、そして、時間を忘れて盛りあがった、ホテルでのスタンツ大会など、君たち一人一人の輝く姿が、今も目に浮かびます。
そして、なにより、時間を守り、服装を正し、大きな声であいさつをする、けじめのついた集団行動により、四国中の、どの施設の方々からも、お褒めの言葉をいただきました。
体育大会では、すべての競技に全力を尽くし、1、2年生に模範を示してくれました。
組み体操においては、その力強く、一糸乱れぬ、真剣な演技に、1・2年生は息を呑み、保護者の方々は、目頭を熱くされました。
69期生の合言葉は「全力」、その言葉通りの、素晴らしい団結力を見ることができました。
文化発表会においては、クラスを越えて、学年の総力を結集して取り組みました。
完成度の高い学年劇、そして、展示作品に驚きました。
それぞれが、自分の役割を、責任感を持って果たした成果が、みごとに表れていました。
全員合唱「空駆ける天馬」では、あふれる涙をこらえきれない保護者の方々、先生方の姿がありました。
部活動においても、日々の努力を怠らず、運動部、文化部とも、数々の成果を収め、大阪市立西中学校の名を、輝かせてくれました。
各教科においても、外部のコンテストなどに、数多く入賞し、部活動とともに、毎週のように、全校集会で、賞状の伝達をさせてもらえたことは、最高の喜びであり、誇りです。
生徒会活動においても、「朝のあいさつ運動」をはじめ、さまざまな取り組みを、自主的に行ってくれました。
これらはすべて、よき伝統として、後輩たちに、引き継がれていくことでしょう。
そして、何よりも、君たちは、日々の授業に、まじめに取り組んでくれました。
進路決定にも、真摯に、前向きに、取り組み、厳しい受験に、立ち向かってきました。
校長面接で、君たち一人ひとりと、触れ合うことができましたが、その真剣な眼差しには、強い決意がみなぎっていました。
これから君たちの進む先には、様々な苦難が、待ち受けているかもしれません。
しかし、くじけることなく、いかなる困難をも、乗り越えながら、一歩一歩、前進していってください。
将来への展望を持ち、粘り強く努力していってください。
苦しい経験を乗り越え、磨かれるほど、君たちは、ダイヤモンドのように、輝きを増すはずです。
PTA便りにも、書かせていただきましたが、君たちに「一隅を照らす人となれ」という言葉を贈ります。
これからの人生、自分が決めた道を、精一杯、頑張って、一番を目指して欲しいと思います。
しかし、それぞれの道で、一番になれるのは、一人だけです。
決して、一番になれなくてもいい。一流になれなくてもいい。たとえ、偉い人になれなくてもいいのです。
これから、歩んでいく人生の中、その時々に、自分が置かれた場所で、精一杯努力し、自分が選んだ道を、自分を信じて、一生懸命に、頑張れば、それでいいのです。
そして、それぞれの立場において、誰からも必要とされる人、明るく光り輝くことのできる人に、なってください。
あなたがいるだけで、その場の空気が明るくなり、あなたがいるだけで、みんなの心が安らぐ。そんなオンリーワンな人に、なってください。
最後になりましたが、保護者のみなさま、本日は、お子さまのご卒業、心より、おめでとうございます。惜しみなく、愛情を注いで、育ててこられたお子さまが、ここにめでたく、卒業式を迎えられ、そのお喜びは、言葉に尽くせぬものが、あるのではないかと、存じます。心より、お祝い申しあげます。
三年間、本校の教育活動に、ご支援、ご協力を頂き、誠に、ありがとうございました。
今後とも、我々教職員一同、力を合わせて、まじめに頑張る生徒が、生き生きと活躍でき、正しく評価される学校を、目指してまいりますので、末永く、西中学校に、お力添えを、いただきますよう、お願い申しあげます。
ご来賓の皆さま方、子ども達は、今後も、地域の中で、育って参ります。地域社会の一員として、時には厳しく、時には温かく、見守っていただき、ご指導くださいますよう、お願い申しあげまして、私の式辞といたします。
平成二十八年三月十一日
大阪市立西中学校
校長 山岡 良知