中学校 全校集会
- 公開日
- 2024/02/19
- 更新日
- 2024/02/19
学校日誌
お菓子
いたずらに一つかくした 弟のお菓子。
食べるもんかと思ってて、食べてしまった、一つのお菓子。
母さんが二つッて言ったら、どうしよう。
おいてみて とってみて またおいてみて、
それでも弟が来ないから、食べてしまった、二つめのお菓子。
にがいお菓子、かなしいお菓子。
「金子みすゞ 童謡全集」
数日前、8年生の道徳の時間の題材だった「オーストリアのマス川」という話に似た詩なので紹介します。
オーストリアのマス川という話、どんな話かというと、ある男性がオーストリアの川に釣りに行くんです。ニジマスなどをフライという釣り方で狙うんですが、グレーリングという魚も居て、これが釣れたようなんです。
日本でも捕獲にはさまざま制限があって、金海物のカニやホタテも小さいものは捕るていけないとか、捕っていい月日が決まっています。
このお話ではオーストリアでのグレーリングの捕ってもいい日の「前の日」だったのでリリースしなくてはいけないのです。この男性はしぶしぶ川へ返したそうです。
皆さんならどうですか、誰も見られていないたったひとりの川で、次の日なら全く問題のない釣り得た魚、どうしますか。
この話ではリリースした様子を監視員が見ていて、「ブラボー」と賛美するんです。素晴らしいとほめるんです。でもこの男性は、あと一日なのに。悔しいという気持ちと、罰せられなくてよかったという気持ちで複雑だったそうです。
さて、金子みすゞの「お菓子」をも一度読みます。
自分の分と弟の分が用意されたお菓子。弟はいない、もちろん家の人もいないんでしょう。この詩ではさっきの男性の話と違って、弟のお菓子を食べてしまうんです。きっと証拠隠滅も図って、お皿などはきちんと片づけることでしょう。けれど、お母さんにそんな話をされるかもしれない。つまりいつばれるかとハラハラしている。弟の目の前で食べたのではないのでなおの事 不安は募る。
そんなえも言えない気持ちをこの金子みすゞさんは「にがいお菓子、かなしいお菓子」という表現で表しているんですね。
自分だったらどうするでしょう。
ちなみに金子みすゞさんの作品で「みんなちがって みんないい」は有名かな。
令和6年2月19日 中学校全校集会 校長講話