学校日記

今日の一言 5月5日 番外編(4) 損得を考えない人

公開日
2021/05/05
更新日
2021/05/05

校長雑感 一隅を照らす

「働き方改革」が求められていますが、学校は一般企業ではなく、利潤追求や効率性を最優先する組織でもありません。先生たちの「働く」ことへの意識もおのずと違います。日本の先生たちへのエールです。

 「一般の企業では通用しない!」—。このように学校の先生たちはよく批判されます。「やっぱり、私たちは世間知らずなんでしょうね…」と悩んでいる先生もいます。しかし、私は即座に聞き返します。「先生が、なぜ一般企業で通用しなければならないんですか?」
 一時期、私は音楽をしている時代がありました。その時に「お前は一般企業では通用しない」と言われたら「そりゃそうです。音楽家ですから」と言っていました。先生方も「そりゃそうです。教育者ですから」と答えればいいと思います。「教師と音楽家は違う!」と指摘される方がいるかもしれません。「一般企業では通用しない」という意味は、「そんな単純な話をしているわけではない」と、お叱りを受けることも承知しています。
 先日、市内の天王寺区八つの小学校の校長先生、教頭先生の集まりがありました。3時間ほど、いろいろな話を聞きました。時間がたてばたつほど、子どもの話、学校の話、教育の話ばかりになります。
 ある教頭先生が言いました。「教師は、損得を考えない人たちなんです」「どんなにしんどい時間があっても、子どもが『ニコッ』としてくれたら、それで満足するんです。どんなつらさも吹っ飛んでしまいます。それだけで働いているんです」
 損得を考えない人たちが、「利益を追求する企業では通用しないこと」は想像できます。しかし、いつも先生方に言っていることは的外れではないと確信しました。少なくとも私は、先生たちに「損得を考えない人であること」「どこまでも生真面目で、誠実に教育者であること」を望み、私自身も、そうあることに挑戦したいと…。子どもたちのことを熱く語る教頭先生の顔を眺めながらそう思いました。
(引用:日本教育新聞 平成30年5月7日・14日 ”心に響く校長講話”)