校長メモ 4月22日(木) 子どもの安全と学びを守るために
- 公開日
- 2021/04/26
- 更新日
- 2021/04/26
校長メモ
今、大阪の感染拡大は大変厳しい状況にあり、来週初めには、緊急事態宣言が発出される見通しです。その際の大阪市立中学校の対応について、報道されているところによると、市長は子どもの感染リスクを最小限にすることを考え、学校に登校せずに済むオンライン授業を提案されたのだと思います。しかし、オンライン授業がすぐにできる状況にないことがわかり、プリント学習も取り入れながらオンライン授業の準備をしていくことに方針が転換されました。さらに、保護者からの給食実施の要望をかなえつつも感染リスクを小さくするため3時間目から給食終了までの登校という措置になったようです。そして、登校するまでの時間と帰宅後の午後は、プリント学習やICTを活用した学習を行うこととし、家庭での監護が難しい子どもは、学校で見守ることになっています。
このような方策が、本当に子どもたちや保護者の方の思いに寄り添った対応なのか、本当に子どもの「安全の確保」や「学びの保障」につながるのか、じっくりと考える必要があるのではないでしょうか。
登校がバラバラになることで、交通安全や不審者に対するリスクが高まることも考えられます。家に一人でいる時間も増え、遊びにも行けず、生活が乱れたり、ストレスが高まったりする危険もあります。
そもそも子どもを感染から守るということでオンライン授業という対応が考えられたと思うのですが、子どもたちは、登校しなければ感染のリスクが下がるのでしょうか。子どもたちは、ほぼ家庭と学校を往復するだけです。繁華街にも居酒屋にもいきません。毎日同じ仲間と過ごし、不特定多数の人と交わることはほぼありません。感染のリスクがあるとしたら、家族や教職員との接触ではないでしょうか。
私も電車通勤ですが、昨年4月の初めての緊急事態宣言時とは違い、車内が込み合っているため不安を感じることがあります。医療機関に勤める保護者の方から子どもを学校に行かせるのが心配だというご相談がありました。それは、学校で感染することを心配しておられるのではなく、自分が感染リスクの高い仕事をしているので、もし気づかずわが子が学校で感染を広めてしまうことになったらどうしようと心配されているのです。そのようなご心配をいただいていることに胸が痛みました。
子どもが一次感染源であれば、子どもを登校させないことで感染拡大は抑えることができるでしょうが、そうとは思えません。子どもに登校を控えさせても、大人の感染者数が減らない限り、子どもはいつまでも登校できない状況が続くだけです。
教職員もコロナウイルスのことはわかりませんので、様々な不安を抱えながらも、学校では、子どもたちが不安を感じないよう、できる限りの手洗い、マスク、消毒、換気など基本的な感染症対策に地道に取り組んでいます。そして、子どもたちが笑顔で安心して学校生活を送ることができることを願って、日々の当たり前の学習や活動を丁寧に行うことを心がけています。感染リスクをゼロにはできませんが、いろいろなことを総合的に考えたとき、学校は子どもにとって安全・安心な場所だと思うのです。
校長 久保 敬