学校日記

3月19日 卒業式 式辞

公開日
2021/03/19
更新日
2021/03/19

学校日記

令和二年度第五十六回卒業式 式辞

 日ごとに春の息吹が感じられ、校庭の木々も新芽が伸び、桜のつぼみもふくらみはじめました。卒業する五十一名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。大きなランドセルを背負って、小学校に入学間もないころの皆さんが、小学校に通いはじめてから、もう六年が経ちました。先ほど、卒業証書を手渡していたときには、一人ひとりのしっかりした態度に、頼もしさを感じました。本日、無事に卒業させることができ、何よりうれしく思います。
 卒業する皆さんへ最後のお話になります。それは、人間の心には「やりぬこう」という心と「もうやめてしまおう」という心があります。この二つの心が、苦しくなると、自分の中で争います。皆さんには、常に「やりぬこう」という心をもち、たくましく生きる人になってほしいと思います。興味のあること、好きなことをどんどん実行し、そしてやりはじめたら途中であきらめないことが自分のためになると思います。中学校に行っても大きな夢と強い意志をもち、自分自身で考え努力し続けてください。
 延期された東京オリンピックの開催が7月に予定されています。オリンピックに選出された方たちに共通することは、たゆまぬ向上心です。練習や研究を人が見ていないところでも黙々と続けられてきました。自分のプレーを喜んでくれる人がいて、記録の塗り替えを期待してくれている人がいて、そこに、自分のベストを尽くす心とそのための苦労も楽しんでいるところです。さらには、試合に負けた時、優勝できなかった時に、「チームが弱い」とか「あの選手のせいで」とか一切言わず、「自分の力不足です。」と他人のせいにしない態度です。とかくスポーツ大会では、派手なプレーに注目が集まりやすいですが、この態度こそ素晴らしいことだと思いませんか。見習ってほしいと思います。
 そして、六年後のことですが、選挙権が十八歳からと法律が改正されました。国の政治に大切な一票を投じる権利を持つと同時にその行為に責任を負います。その時には、しっかりとした考えを持った一人の人間として成長していてほしいです。それは、大きく枝を伸ばした樹のように、地面の下に幹を支える根が、広く深く枝の何倍もの大きさでしっかりと張っています。根を張っていく途中には、土の中で柔らかい所もあれば、とても固いところもあります。何かにぶつかって進まなくなったとき、自分以外の人のせいにしてしまいたい気持ちになることもあるでしょう。そんな時、固い石にぶつかってなかなか進めないときも文句を言わず、じっとがんばって根を伸ばす樹のことを思い出してください。慌てないでひたむきに努力を続ければ、いつか硬い石のところを通り抜けます。石が硬くて大きいほど時間はかかりますが、そのあと咲く花はどれほど見事で、周りの人を感動させることでしょう。皆さん一人ひとりに、その力があることを忘れないでください。
 最後に、お願いが一つあります。皆さんがこうして立派に成長するまでには、ご家族や地域の方々、たくさんの方々からの温かい見まもりやはげましがあったことを忘れてはなりません。感謝の気持ちを、いつも心にとめておいてください。これからも、まわりの人たちとのかかわりを大切にし、「ありがとう」ということばを素直にいえる人、感謝の気持ちを素直に表せる人になってください。皆さんの成長を見守り、育ててくださったこの素晴らしい茨田東地域への感謝の気持ちを忘れず、そしていつまでも自分の地元を大切にしてほしいと思います。よろしくお願いします。
 保護者の皆様、本日は、誠におめでとうございます。これからも温かく、そして、時には厳しく、子どもたちの成長を見守っていただきますよう、お願い申しあげます。そして長きにわたり、本校の教育に温かいご理解ご支援とご協力いただいたことに、全職員とともに心から感謝申しあげます。これからも子どもたちを、「地域の宝」として末永く見守っていただけますようお願い申しあげます。
それでは、卒業生の皆さん、中学に行っても元気で、学業とクラブ活動を楽しんで中学校生活を充実させてください。皆さんの活躍と健闘を願っています。

令和三年三月十九日
大阪市立茨田東小学校 校長 北村直通