冬休み特別企画・大阪市内難読地名クイズ【答え合わせ】

冬休みクイズに挑戦してくれたみなさん、ありがとうございます。

大阪市内には、見た目だけでは読めない地名がたくさんあります。
今日は答えと、ちょっとした由来や解説をまとめました。

① 放出
答え：はなてん。
解説：：古代の湖の水を淀川へ放ち出す場所だった、という説があります。
もう一つの説として、三種の神器「草薙剣」を放り出したという伝承も残っています。

② 喜連瓜破（きれうりわり）
答え：きれうりわり。
解説：：実際は「喜連」と「瓜破」の二つの町名を合体させた、地下鉄の駅名です。

「喜連（きれ）」は、古い地名（郷の名前）が変化したものといわれます。
「瓜破（うりわり）」は、古い表記（田の名など）が元になったとされ、地域には「瓜破」の名の神社などもあります。

③ 杭全
答え：くまた。
解説：：昔から朝鮮半島の百済（くだら）から来た渡来人が多く住んでおり、その「くだら」が転じて「くまた」になったという説があります。

④ 柴島
答え：くにじま。
解説：：昔、淀川のそばに“島”のような地形があり、そこからの地名といわれます。
由来は諸説あり、「くきじま」「くぬぎじま」などの音が変化した、という説が伝えられています。

⑤ 御幣島
答え：みてじま。
解説：：「御幣（ごへい）」は神事で使う紙の飾りのことで、地名には信仰や伝承が重なっています。
西淀川の水辺の歴史の中で、古い呼び名が定着したとされています。

⑥ 遠里小野
答え：おりおの。
解説：：「遠里小野」は古い歌にも出てくる、とても歴史の長い地名として知られています。
“遠い里の小さな野”のようなイメージが、そのまま名前に残ったともいわれます。

⑦ 道修町
答え：どしょうまち。
解説：：かつて「道修谷（どうしゅうだに）」と呼ばれていた説、「道修寺」というお寺があった説、そして「北山道修」という医師が住んでいた説で、これらの説が重なり合い、「どしょうまち」という読み方に変化したと考えられており、江戸時代から「薬の町」として発展しました。

⑧ 野江内代
答え：のえうちんだい。
解説：：こちらも「野江」と「内代」という、ふたつの地域名を合体させた駅名としても有名です。野江は、「野＝野原」「江＝岸（川べり）」の意味で、昔このあたりが淀川・寝屋川周辺の湿地帯（川べりの土地）だったことに由来すると説明されています。内代の名は寛永20年から徳川氏代官の支配地になったことによると考えられます。
“ふたつの地名を合わせて呼ぶ”大阪らしい読み方の面白さがあります。

⑨ 安立
答え：あんりゅう。
解説：：江戸初期にこの地に住んだ名医 半井安立（なからい あんりゅう） にちなむ地名とされます。治療を求めて人が集まり、町ができたことから、その名を取って「安立」と呼ばれるようになった、という説明が伝えられています。

⑩ 河堀口
答え：こぼれぐち。
解説：：8世紀（延暦7年/788年）に和気清麻呂（わけのきよまろ）が行った治水工事、特に猫間川から茶臼山方面へ掘り始めた「河堀（こぼり）」という堀川の工事の「口（開始地点）」に由来します。洪水対策のための工事で、この場所がその発端だったため「河堀口」と名付けられ、後にこの一帯の地名として残り、近鉄線の駅名にも採用されています。 

⑪ 茨田大宮
答え：まったおおみや。
解説：「茨田（まった）」は古代の郡（こおり）の名前として残る、古い地名です。
「大宮」は神社などの“お宮”に由来する名として各地に見られます。

⑫ 十三
答え：じゅうそう。
解説：：淀川のそばの水の町で、昔の川や渡し（わたし）の歴史と関わる地名として語られます。「淀川の上流から数えて13番目の渡し場があった」説と、「古代の条里制で数えて十三条目の土地だった」説が有力で、特に「十三渡しの存在」が地名になったという説が有力視されていますが、中津川の渡し場の船つなぎ場「重蔵（じゅうぞう）」に由来する説や、「十三詣り」（数え年13歳のお祝い）との関連を指摘する説もあります。 

⑬ 住道矢田
答え：すんじやた。
解説：：「住道（すんじ）」は、この地にあった「中臣須牟地神社（なかとみすむちじんじゃ）」の「須牟地（すむち）」が「すんじ」と転訛し、それが「住道」という漢字になったとされています。「矢田（やた）」はこのあたりの古い地名で、今も町名として残っています。

⑭ 聖天下
答え：しょうてんした。
解説：：「天下茶屋の聖天さん」と親しまれる正圓寺（しょうえんじ）のある聖天山の“坂の下（した）”にあたる、という説明がよく知られています。
聖天山は標高が低い山としても話題になり、まち歩きの面白ポイントです。

⑮ 天下茶屋
答え：てんがちゃや。
解説：：豊臣秀吉（殿下）が立ち寄った“殿下茶屋”に由来する、という言い伝えがあります。
今も下町のにぎわいと、歴史の香りが同居する地名です。

⑯ 新喜多
答え：しぎた。
解説：：江戸時代初期（1704年頃）に旧大和川の河川敷跡で新田開発を行った鴻池新十郎（こうのいけ しんじゅうろう）、鴻池喜七（こうのいけ きしち）、今木屋多兵衛（いまきや たへえ）の3名の名前から一文字ずつ取って名付けられました（「新」「喜」「多」）。この地域は「新喜多新田」と呼ばれ、京橋から東大阪市方面に広がる広大な新田開発地で、現在の城東区周辺に位置しています

⑰ 加美鞍作
答え：かみくらつくり。
解説：：「加美（かみ）」が平野川上流の「上」が転じたことと、「鞍作（くらつくり）」が古代の馬具を作る技術者集団「鞍作部（くらつくりべ）」が居住していたことに由来します。特に、飛鳥時代に法隆寺の仏像で知られる鞍作止利（くらつくりのとり）のゆかりの地であり、仏師の祖がいた場所として「鞍作」の名が残っています。 また、古代の渡来人やものづくりの歴史と関わる、という説明も残っています。

⑱ 兎我野町
答え：とがのちょう。
解説：：兎我野町（とがのちょう）の地名は、『古事記』や『日本書紀』にも登場する非常に古いもので、「兎我野（とがの）」と呼ばれ、かつては梅田周辺一帯を指し、鹿が鳴く音が聞こえる土地だったことに由来します。新羅語の「日の出」を意味する言葉の転訛説や、神功皇后ゆかりの「菟餓野の誓約」の地としても伝わり、仁徳天皇が鹿の鳴き声を楽しんだ逸話も残る、歴史豊かな地名です。 

⑲ 立売堀
答え：いたちぼり。
解説：「伊達堀（だてぼり）」が転訛（てんか）した説と、材木を「立って売る（たちうり）」市場が開かれた説が有力で、両方が合わさって現在の名称になったとされます。大坂の陣で伊達氏が築いた「伊達堀」が「いたちぼり」に変化し、後に材木市場で「立売」が許可され、その漢字が当てられたという流れです。 

⑳ 夢洲
答え：ゆめしま。
解説：：大阪湾の埋立（うめたて）でできた人工の島で、昨年は皆さんも行った大阪・関西万博の会場にもなった場所です。
名前は公募で決まり、百人一首にもつながる「夢」の言葉から連想した、と説明されています。

㉑ 鷺洲
答え：さぎす。
解説：：昔は「さぎしま」と呼ばれていました。“島”のように見える土地で、「鷺（さぎ）」が多かったことを思わせる地名です。
福島の水辺の歴史が、そのまま地名に残ったともいわれます。

㉒ 東小橋
答え：ひがしおばせ。
解説：「小橋」は『日本書紀』に記された仁徳天皇時代に「猪甘津（いかいのつ）」に架けられた日本最古級の橋にあり、この橋のある場所を「小橋」と呼んだことに始まり、現在の大阪市天王寺区周辺の地名として残っています。「東小橋」は、その小橋エリアの“東側”という形で、場所を分けた名前として理解しやすい地名です。

㉓ 依羅
答え：よさみ。
解説：古代の大阪湾岸で漁撈（ぎょろう）や狩猟（しゅりょう）を行っていた豪族「依羅吾彦（よさみのあびこ）」一族の本拠地。 「依羅」は、単なる地名だけでなく、古代の豪族、漁業・狩猟、そして朝廷との関わりを示す歴史的な地名であり、現在の大阪市住吉区や松原市天美地区周辺（旧依羅郷）にその名残を見ることができます

㉔ 恩加島
答え：おかじま。
解説：：江戸時代の新田開発と関わる地名で、開発者の名などと結びつけて語られることがあります。
「恩を加える」という、ちょっと“縁起のよい字”が使われているのも印象的です。

読めるようになると、駅名標（えきめいひょう）を見るのが少し楽しくなります。

次のお出かけでは、ぜひ“地名の読み方”にも目を向けてみてください。