4/5(水)入学式

 入学式の続きです。
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4/5(水)入学式

 第78回入学式を挙行いたしました。新入生を迎え令和5年度のスタートです。校長先生の式辞を紹介します。

 本格的な春の訪れがそこかしこで感じられる今日の佳き日に、入学式を迎えられた89名の新入生のみなさん、入学おめでとう。みなさんの入学を教職員一同、心から歓迎します。みなさんは、今日から創立76年目を迎える歴史と伝統のある長吉中学校の78期生です。これから、上級生のみなさんとともにさらに素晴らしい学校をつくっていってください。
 また、新入生のみなさんは、「児童」から「生徒」へと呼び名も変わります。この呼び名の変化には、みなさんが一歩、大人に近づいたことを自覚してほしいという願いが込められています。今壇上からみなさんの顔を見ていると、どの人の目も清らかに澄み、新しい環境でがんばろうという強い意思で輝いています。その目が語っている今のみなさんの心の姿を「初心」と言います。どうかその初心を大切に、しっかりと前を見つめ、本校の校訓である『明朗・協調・自律・勤勉』につとめ中学校生活を過ごしてください。
 そこで、入学にあたり二つのことをお話ししたいと思います。
 一つは、不思議な竹のお話です。中国には不思議な竹があるそうです。その竹は、種を植えた後に農家の人たちが水と肥料を与えて育てるのですが、1年目は何も起こりません。2年目も一生懸命水と肥料を与えますが、芽が出るわけでなく、土が膨らむわけでもなく、何の変化もありません。3年目も、4年目も何も起こりません。
 しかし、5年目のある雨の日の明け方を境に、突然成長を始め、わずか6週間で27mの高さにまで成長するのだそうです。私たちの目には、すさまじい勢いで成長する6週間の姿しか見えませんが、その前には何も起こらない、実に4年もの歳月があるのです。
 みなさんの人生もこの竹に似ています。みなさんの将来には、いろいろな可能性が秘められています。この竹のように、ある時期を境に、すさまじい勢いで、みなさんの才能が花開く時期がきっとあります。しかし、何も起こらない静かな時期もあると思います。目には見えませんが、その時こそ、地面の下では将来の成長に備えてどんどん下へ下へと根を生やしているのです。この根のことを、昔の人は「命の根」と言いました。
 人生において、これから始まる中学から高校にかけての時代は、みなさんの「命の根」をしっかりと下へ延ばす時期ともいえます。「あなたの心の庭に、忍耐を植えなさい。その根は苦いが実は甘い」という言葉があります。これから始まる中学校生活も、楽しいことばかりではないでしょう。苦しんだり耐えたりしなければならないこともたくさんあると思います。しかし、困難から逃げてばかりいたらこの根は育ちません。せっかくのみなさんの才能も枯れてしまいます。ある日を境にすさまじく成長するその時まで、努力と我慢で栄養を蓄えてください。しんどい時こそ、みなさんの命の根がしっかりと伸びていると信じて、頑張ってほしいと思います。
 もう一つお話ししたいことは、みなさん一人ひとりは「たった一度きりの存在だ」ということです。世界中のどこにも、みなさんと同じ人はいません。地球の歴史の始まりから、あなたと同じ人は一人もいなかったのです。みなさんの指先にある指紋と同じです。自分と全く同じ指紋の人は、世界中どこを探してもいません。今いないだけでなく、過去にも、これから先にも、あなたと同じ指紋の人は現れることはありません。過去・現在・未来を通して、皆さん一人ひとりは、唯一無二の、たった一度しか存在しない人間なのですから、これ以上価値のあるものはありません。だから、自分が人間として生まれてきたことに感謝し、自分を大切にしなければならないとともに、他の人の命も大切にしなければならないのです。みなさんには、このように絶対的な価値があるのですから、他人のまねをする必要もありません。顔やからだ、笑い方、話し方、才能・・・・みんな違います。違いはありますが、人として何の違いや差があるわけではありません。みんな同じく等しい存在です。この大切なことを忘れず、これからの中学校生活の中で、互いの違いを個性として認め合い、支えあえる仲間に成長してください。言葉は誰かを傷つけるためにあるのではなく、心を結ぶためにあります。お互いに、「優しい言葉」「温かい言葉」「親切な言葉」を出し合える仲間でいてください。
 最後になりましたが、保護者のみなさま、お子さまのご入学おめでとうございます。
 長吉中学校は「物事を最後までやりきる生徒を育て、一生懸命頑張る生徒がしっかり認められて輝ける。そんな学校を目指しています。将来、中学校を卒業した後も子どもたちに降りかかってくるであろうさまざまな困難に耐える学力と自制心、自分の気持ちをコントロールできる力」をこの3年間約1000日で育みたいと考えています。
 教育というのは、1年で花や実のなる農業ではなく林業に似ています。一〇年先になるか、二十年先になるか、個人によって違いはありますが、たくましく自立して存在できるように成長を見守り助ける作業です。子どもたちの心の中に「わがまま」「自分勝手」という成長を妨げる横枝が生えてきたときは、学校・家庭・地域で枝を切り取ったり、添え木をしたりして堂々とした大木に成長するように協力して見守っていきたいと思います。困ったことがあれば遠慮なくご相談ください。
 それでは78期生のみなさん、最後に「山の頂上に登るのに、決められた登山道があるわけではない。自分の得意なところから登ればよい。ただ、大切なことはあきらめずに絶え間なく登ることであり、それさえ出来ればいつかは山の頂上にたどり着くことができる」という言葉を贈り、入学式の式辞といたします。


令和5年4月5日 
                       大阪市立長吉中学校
                       校 長 浅埜 高司

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